夏休み。それは神ゲーに生活を支配されても問題ない期間。学生生活も15年目、もう当たり前のものとして染みついている長期休暇が社会人になると存在しないだなんて考えたくねぇやい。
人生であと二回しか残されていない夏休みの前半は、超有名タイトル「ニーアオートマタ」をプレイしていました。
神ゲーを味わい尽くすには、前作「ニーアレプリカント」を先にやるべきかと思いましたが、難易度やストーリーなどあらゆる方面で新規層に配慮がされている*1らしく、ならば一見さんとしてやってみようと思ったのだ。
バチクソに面白かったです。自分の語彙力ではこのゲームの良さを100%有り余ることなく伝えるのは不可能なので、記事にすることすら躊躇いましたが、何も発信しないよりはマシだろの精神で今回も思ったことをネタバレ配慮0で書きなぐっていこうと思いまする。
周回←大嘘
本編をクリアした後、ゲーム内で「周回プレイをすることでストーリーに変化が見られます」という通達が。
複数のENDが在ることは知っていたので、それらを回収できるよってことなのかと思っていましたが…3周目に入ると何やら様子がおかしくなります。
そう、1、2周目とは全く異なる物語が始まったのです。正確には1、2周目の続きが。どこが周回だ!バリバリ本編じゃねぇか!
「3周目」やら「周回」やら言ってますが、三周目までやらないとストーリーが完結しないので、三周目という表記は正直偽称。やり込みとかではなく義務だと考えた方がいいですね。
マリカ7のレインボーロードのようなもので、チェックポイントが三つ設けられていて、全て通ることで「1周」が終わると考えてもらえれば…(伝わりにくい?)
取っつきやすいゲーム性
プレステのアクションRPGって操作が難しい、敵が強い、とハードルが高そうな先入観があり、ニーアを始める時もそこんとこは覚悟していました。
しかし、標準難易度でもボタン連打で敵は倒せるし、被弾こそあれど回復アイテムは潤沢に手に入るなど、思ってたよか親切なゲームでした。剣、槍、大剣、格闘と攻撃モーションもそれぞれ見ごたえアリ、敵をなぎ倒していく爽快感もアリと、ニーアはストーリーしか興味がなかったんですがノーマークだったアクション面もめちゃくちゃ良かったですね。
「ここすき」だらけなストーリー
確かに鬱で気分が沈むイベントだらけではあるけど、真エンドまでたどり着いて待つものはこれ以上ないほどの充足感。特にハピエン厨というわけではありませんが、救いのある結末を見ると嬉しくなるのは当然の心理。
退廃的なフィールドに寂しげなBGM。しかし人々(?)との交流は意外とコミカルなものが多く、心が温まるクエストも複数用意されています。が、三周目でそれら全ては音を立てて崩れ去る。とにかくプレイヤーの精神を追い込んで追い込んで追い込んで…我々がクリアするかヨコオの邪心が勝るかの根比べみたいなところはあります。
そしてここからは、特に好きな場面を画像有りで語っていこうかなと思います。もうブログじゃなくてただの雑記帳ね(今更)
貴女と共に戦えて光栄でした
どう見てもクライマックスですが、これは他のゲームで言うとプロローグの場面に当たりますw とんでもねえゲームだ
まだ操作に不慣れでありつつも、必死に巨大な敵と戦い続け、パートナーの命がけの献身もあり撃破に成功します。そこで待つものは帰還命令ではなく敵騎兵三機の増援。
開幕から絶望を与えてくる展開は、プレイヤーに「中々上手くはいかない世界」であることを諭しているかのよう。並大抵のゲームにこんなハードな最序盤は用意されていないでしょうねぇ。
そうだ……その感情、憎悪だ!
さらわれた9Sにひどいことをするアダムに、2Bは作中で初めて激昂します。それに呼応するように、冷静だったアダムも激情を露わにし、「感情を持つことを禁止されている」アンドロイドと「感情を持たない」機械生命体は激しくぶつかり合うこのシーンはかなり痺れる名シーンだと思います。BGMの入りも最高で鳥肌立ちまくりです。
機械に家族なんかできませんよ~
意気揚々と二周目を始めたプレイヤーに衝撃を与えるこの場面。何故か機械生命体を操作することになり、しかも言葉にするのは「ニイチャン」
さっき倒したばっかのイヴと関連性が!?ていうか二周目って完全新規ストーリーなの!?ていうか敵のはずなのに悲しくなってくる…等々頭が混乱してきたところに入る9Sの嘲笑じみたこのセリフ。
機械生命体への侮蔑、もしくは「家族は出来ない」はアンドロイドにも当てはまるということを理解した上の諦観が込められた発言か。どちらにせよこの発言は9Sの良き上司であった21Oへの素敵なブーメランとして機能することになるのでした…。
A2ッッウウウゥッッ!!!!
勝利目前だったはずなのに大ピンチとなってしまったヨルハ部隊。隊員はほぼ全滅で2Bも論理ウイルスに汚染され、立っているのがやっとな状態に。
ウイルス汚染されたヨルハ機体からの凶刃に倒れるかと思った2Bを救ってくれたのは裏切り者として手配されていたA2。2BはそんなA2に最後の希望を託し、自身の記憶を剣に込めA2に渡します。そしてA2はもはや末期であった2Bを刺し殺す。バックアップを取っていたバンカーは壊滅したため、これが2Bの最期となったのです。
その瞬間を目撃してしまった9Sは、2Bの死に絶望。そしてA2への憎悪に我を忘れ、遮二無二向かっていくのでした…。
三周目の在り方や9Sがこれから向かう末路が何となく見える、とにかく衝撃的な場面として強く記憶に残っています。この後もA2は決して9Sに弁明しようとしないのは、9Sに復讐心を与えて生きる意味を失わせないようにしていたのか、なんて考察もしちゃったりね。
A2とポッド042の漫才
機械的な発言だらけの中、たまにクスッと笑えるようなセリフが魅力のポッド042。A2に随行支援するようになってからよりコメディになり、三周目序盤のA2との会話は爆笑必至。A2が意外と「硬くない」性格だと判明したり、ガンガン煽ってくるポッド042など二機の会話は三周目最大の癒しです。
愚行こそ限りない模倣
機械生命体の統率をしていた赤い少女(N2、正式名称はターミナルだが赤い少女と今後も表記)は、お互い人類のように振舞う点で似ているがネットワークで繋がっている機械生命体がアンドロイドよりも圧倒的に優れていると発言。
まともに戦っても勝てないため、ポッド042はあえて敵を撃破せずに自我を大量に形成させることを提案。それでどうなるのかというと…複数でありつつも一つであったはずの概念人格が、複数の自我を持ったことで意見の相違が発生。
「A2を淘汰圧として生存させることで、障壁を乗り越え更なる高みを目指す」派閥と「危険分子は早急な排除」派閥で対立し、赤い少女は内紛を起こしました。
敵を前にして味方同士で潰し合う様子はプレイヤー視点から見ても実に滑稽。そんな赤い少女をあざ笑った「まるで、人類みたいだな…」という皮肉は、ニーアオートマタ1の名言だと個人的に思っています。
どれだけ完璧でも人類とは程遠かった存在が、仲間割れという無生産で無価値な行動に走ったことで初めて人類に近づけたというアイロニカルな結末。同じコアを所有しながらも争い続けていたヨルハと機械生命体の構図にも似たものを感じてしまいますね。
ゲームに立ち向かう真エンド
CエンドとDエンド。どちらも大団円とは言い難い結末であり、プレイヤーのメンタルはもうボロボロ。しかし、開発がこういうストーリーを作ったんだからもうどうしようもないのです。プレイヤーは無慈悲に流れるエンドロールを虚ろな目で見つめるだけ。
ただ、プレイヤーの他にもこの結末に納得できない存在がいました。それがポッド042でした。
ヨルハと機械生命体の争いも、いずれヨルハが機械生命体によってウイルス攻撃されることも、最終的にはヨルハ関連の情報は地球上から全て抹消されることも仕組まれたものでした。そんな「ヨルハ計画」(通称:ヨルハ部隊使い捨て作戦)の監視者こそがポッドであり、ポッド042と9Sの随行支援担当のポッド153はヨルハ計画の最終段階である情報削除へ移行しようとしていました。
しかし、長いヨルハ機体への随行で情が湧いたポッドは最後の最後でヨルハ計画へ反旗を翻します。計画とは異なり2Bらの情報をサルベージし、復活を遂げようとします。
ポッドと同じく「バッドエンドであってほしくない」「この結末を変えたい」という思いを抱いたプレイヤーはそのまま最終ルートのエンドロールへと突入します。その内容とは、エンドロールの破壊。結末を認めないということは、ゲーム制作に関わった人間すべてへの挑戦でもあるのです。
超密度の弾幕に永遠かと思うほどに長いエンディングに幾度も挫けそうになるが、世界中の仲間の助けもあり(文字通りの意味です)エンディングの破壊に成功。2B達は同じ個体として復活を果たしたのです…。
終わりに
あー、もう書いてるだけで泣きそう(T_T) とにかくアクションはやりやすくて爽快で、ストーリーは暗いだけじゃなくてちゃんとアガる場面もあって、キャラクターに感情移入できて、深いゲームでした。合間にサクッとやるスタイルだとストーリーを十分に堪能できないだろうから、是非とも時間があるときにどっぷり浸かってほしいですね!!
*1:「ニーア2」というタイトルではないのも初見が入りやすいように